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デジタル ディップメーター
普通のディップメーターにはプラグインコイル一式が付き、それに対応する周波数多重目盛がありますが、他のコイルは使えません。デジタルディップメーターにもバンドの数だけコイルが付きますが目盛は無く、その代わりにカウンターが周波数を表示します。そのため、どんなコイルでも、大きくても小さくても、マルでも三角でも発振すれば周波数は正確に表示されます。ここがデジタルです。右のコイルは1.8mmφの銅線を直径115mmで3回巻いたものです。これは付属のCコイルとDコイルの中間に相当し、11MHz〜20MHzの範囲で使えます。
 
コイルが大きいと?
小指サイズのコイルは、発振していても電磁波を遠くまで飛ばしません。本来は送信機のタンク回路など、局所的な共振回路の調整、測定に使うので、コイルはなるべく細く、長く作られています。小指サイズのコイルが共振回路に反応する距離はせいぜい3cmです。一方、大きいコイルは周囲にできる磁力線のサイズも大きくなるから、同等の大きさのコイルを持つ共振回路なら50cm離れても検知します。スイカのような「非接触データ転送カード」の研究、実験にも使われています。
 
コイルがアンテナに
発振しているコイルから放射される電磁界は、誘導界(induction field)と放射界(radiation field)の合成です。ディップメーターが測定に使うのは誘導界で、細いコイルでは放射界はほとんど出ません。ところが、コイルの寸法がその周波数の波長に近づくと、放射界が強まり、コイルがアンテナになって電磁波を遠くまで飛ばします。ディップメーターの出力電力は僅か数ミリワットですが、巨大なコイルを使えば遠距離通信も理論的には可能です。
   
シンセサイザーとは一味違う

デジタルディップメーターはLCコルピッツ自励発振器です。シンセサイザーとは異なり発振波形はきれいなサイン波で*周波数変化もなめらかです。僅かな周波数ドリフトがありますが、時々刻々の周波数は±0.005%以上の正確さで表示されます。表示される全桁が正確ですから、短時間ならJJYの代用も可能です。ただし、時報は出せません。標準電波発生装置としては大きいコイルの方が便利な場合もあります。
*専用の定電圧回路付きACアダプターまたは電池電源使用の場合。市販のACアダプターでは波形が劣化する事があります。
 
コイルの作り方
写真のコイルは市販していません。1.8mm〜2.2mmφの被覆銅線(ホルマール線)を茶筒などに巻きつけて作ります。要所を糸で結んで跳ね返りを止め、先端の被覆を剥がしてコイルソケットに合わせて曲げれば完成です。DMC200Aに付属の予備のコイルボビンも利用できます。2.2mmφ以上の線はソケットを痛めます。コイルソケットを作業台にしない事!コイルの自作、実験をお勧めしますが、結果についての責任は負いかねます。
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DELICA 三田無線研究所